高校からの友人

池やん 彼とは高校時代からの友人である。

池やん 彼は頑固である。その頑固さは職人気質の現れなのだろう

池やん 彼は失礼なヤツである。人の家に行けば壁や柱を「コンコン」と指で叩く、そして撫でる。この行動はおそらく材質を確認んして、そして"ソウゾウ"しているのだろう。

まったく失礼な話である、しかしそれだけ常に建造物という物に興味と愛情を持っているからこその行動なのだろう。


そんな池やんだが、私にとって一生忘れられない出来事がある。

それはあの阪神大震災、当時私は神戸東灘区に住んでおり、阪神高速道路の転倒等、街は大被害を受けていた。

その時、私の父は腰の骨を折り寝たきり状態、私と共に避難所生活を送っていた。

ある日、余震が続く中、彼が私の安否の確認に来てくれた。

お互いの状況を話し合い、その時は別れた。しかしその日の夜、右手にビニール袋一杯の痛み止めを持ってきてくれたのだ。

私の父のために。

私はその彼の姿を見て、涙しそうになった。

後から知ったことだが、薬を手に入れる為に三田市までバイクで走ってくれたらしい。自分自身の家も全壊だったのに…。

私は、そんな彼の人情深さに今でも感謝している。